多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn-drome : PCOS),いまだによく解明されて

いません。

最近の米国産婦人科学会誌にコメントが掲載されていました。

 

臨床的管理に関する疑問あるいは質問

 

·PCOSの肥満女性においては,体重減少は卵巣機能を改善させるか?

·PCOSは心血管系に長期的な影響をもつか? またそのスクリーニングの対象群をどのように決めるべきか?

·PCOSの女性で受胎を希望している場合, 月経に伴う疾患を治療するための最善の維持療法はどのようにあるべきであろうか?

·PCOSの女性で受胎を希望しない合に,心血管疾患および糖尿病の発生リスクを低く維持する最善の療法は何か?

·PCOSのる女性で受胎を希望している場合に,どのような排卵誘発法が効果的であるだろうか?

·PCOSの女性に対する多毛症に対する種々の治療はどの程度有効であるだろうか?

·多毛症の管理でさまざまな薬品の使用は,どのような機能があるのだろうか?

 

推奨と結論

1,以下に示す推奨と結論は,良好にして常在する科学的証明に基づいている

(レベルA)

·食事療法とともになされる運動量の増加は糖尿病リスクを薬剤療法と同等あるいはそれ以上に低下させる

·インスリン感受性を高める薬剤によりもたらされるインスリン感受性の増大は,循環血中のアンドロゲン濃度を低下させ,排卵の割合を改善し,耐糖能を改善する

·PCOSの女性に対しての排卵誘発のための薬剤使用は,第一にレトロゾール(letrozole)を使用することを考慮すべきである.その理由は, クロミフェンを使用した場合に比較して, レトロゾール使用時の生産児数がより多数であることによる

·多毛症に対するレザーの使用は,eflonithineの使用を併用した場合のほうがより良い成績が得られる

 

 

2,以下の推奨と結論は,限定された,また必ずしも恒常的でない科学的証拠に基づく

(レベルB)

·PCOSの診断をもつ女性に対しては,75 g糖負荷および2時間値血糖により2型糖尿病および耐糖能障害のスクリーニングを行う.

·PCOSのある女性に対しては,BMI,空腹時脂質および リポプロテイン値によりmetabolic syndrome risk factorsをみる.

·体重の減少は妊娠率の改善,多毛症の減少,耐糖能の改善,脂質の改善を伴う.

·メトホルミンにさらにクロミフェンを加えることにより,妊娠率は改善するが,その改善は特にPCOSのある肥満女性においてより著しい.

·クロミフェンまたはレトロゾールを使用しても妊娠に至らないときには,第二の手段として,外部からの(薬剤の)ゴナドトロピンの使用, または腹腔鏡による卵巣手術を試みる

 

 

 

3,以下の推奨と結論は基本的にはコンセンサスとエキスパートの意見にその基礎を持つ

(レベルC)

·エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせによる低用量ホルモン避妊薬の使用は,長期的な管理のために多く使用され、月経障害の一時的な治療に使用される. これは月経に問題のあるときの第一の(主要な)治療法である

·先天性副腎増殖症およびPCOSの診断が疑われる一群の女性には17-hydroxyprogesterone値を調べる.

·PCOSのある女性にゴナドトロピンを使用するときには,低用量で使用する

·PCOSによる多毛症に対する主要な治療法は明瞭ではない

 

 

 

 

ちなみに。。。

 

日本産科婦人科学会による診断基準(2007)

以下の1~3のすべてを満たす場合を多囊胞性卵巣症候群とする

1, 月経異常

2, 多囊胞卵巣

3, 血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常

 

1)月経異常は,無月経·希発月経,無排卵周期症のいずれかとする.

  2)多囊胞卵巣は、超音波断層検査で両側卵巣に多数の小卵胞がみられ,少なくとも一方の卵巣で2~9mmの小卵胞が10個以上存在するものとする

  3)内分泌検査は排卵誘発薬や女性ホルモン薬を投与していない時期に1cm以上の卵胞が存在しないことを確認の上で行う. また,月経または消退出血から10日目までの時期は高LHの検出率が低いことに留意する

  4)男性ホルモン高値は、テストステロン,遊離テストステロンまたはアンドロステンジオンのいずれかを用い各測定系の正常範囲上限を超えるものとする

  5) LH高値の判定は,スパック-Sによる測定の場合はLH>=7 IUmL(正常女性の平均値+1 ×標準偏差)LH>=FSHとし、肥満例(BM>=25)ではLH>=FSHのみでも可とする. その他の測定系による場合はスパック-Sとの相関を考慮して判定する

  6)クッシング症候群,副腎酵素異常,体重減少性無月経の回復期など.本症候群と類似の病態を示すものを除外する

 

*ロッテルダム 2003 の診断基準
1 稀発排卵 or 無排卵
2 臨床的 and/or 検査で高アンドロゲンの所見
3 多嚢胞性卵巣(29mmの小卵胞が12個以上 and/or 卵巣体積が10ml以上)
上記3つのうち少なくとも2つがあった場合にPCOSと診断する


卵胞の分布、間質の輝度・面積の増加は定義には含まない
片側の卵巣のみで 多嚢胞性卵巣と判定してよい
10mm
以上の卵胞がある場合や黄体を認める場合は次の周期を待って判定する
ピルを内服してる女性にはこの基準を用いることはできない
超音波上の 多嚢胞性卵巣所見だけで PCOSと診断することはできない