更年期障害について
閉経を挟んで前後5年ずつぐらい、女性の体調が悪くなることがあり、更年期症状(更年期障害)と呼ばれます。
卵巣から分泌される卵胞ホルモン(女性ホルモンの1つ)が急に減ってくるからだと考えられています。
(女性ホルモンには卵胞ホルモンと、黄体ホルモンがあります)
女性ホルモンは初経のころ出始め、女性の体に大きな<良い>影響を与えてくれます。
更年期に入ると卵巣の働きが弱くなり、女性ホルモンが減ってくるのです。
卵胞ホルモンが急に減ってくると体が慣れずに、いろいろな症状を起こすことがあります。
症状がひどい人も 症状が全くでない人も居ます。
肩が張る、頭が重い、頭痛がする、だるい、いらいらする、眠れない、眠い、など様々ですが、典型的なのは1日に何回か「上半身だけがカーッと暑くなって、汗が(「滝のように」と表現されることが多い)出る。などがあります。
更年期で調子の悪いことがあっても、全てがそのせいかどうかはわかりません。
これを見極めるために、女性ホルモン(卵胞ホルモン)を使ってみましょう。
卵胞ホルモンのお薬として、
1.注射 (プリモジアンデポ)
2.飲み薬 (プレマリン エストラジオール錠)
3.塗り薬 (ル・エストロジェル)
4.貼り薬 (エストラーナ)
があります。
一番早くしっかりと効くのが注射です。 注射の次の日から10日間ぐらい効きます。(少量の男性ホルモンも入っていますが、このために よりしっかりと 効きます。)
月に何回も注射をするのでなく、あくまでも女性ホルモンが今の症状に効くのかを見極めるためです。
注射して数日の間 乳頭が敏感になって、歩きづらいという方もいらっしゃいますが、薬は必ず切れてきますので少々お待ちください。
飲み薬が使いやすいですが、飲んだお薬は(吸収された後)必ず肝臓を通り、肝臓に負担をかけますので、長く使う場合には塗り薬、貼り薬がよいとされています。
子宮がある方は 卵胞ホルモンだけ使っていると、子宮の中の赤ちゃんのベッド、子宮内膜が厚くなってきて、いつか性器出血が起きます。(生理?と呼べなくはありません)
卵胞ホルモンだけを何十年も使うと子宮体がん(子宮内膜癌)になる確率が高くなるとされていまして、2大女性ホルモンのもう1つ、黄体ホルモンも使った方がいいとされています。(卵胞ホルモンでは乳がんになる確率は上がらないと考えられています。)(子宮がない方には黄体ホルモンは必要ありません)
黄体ホルモンのお薬として、
1.飲み薬 ヒスロン(月に10日ぐらい使います)
プロベラ(毎日使います)
デュファストン(月に10日ぐらい)
エフメノ(毎日使います)
2.貼り薬 メノエイドコンビパッチ(週に2枚 卵胞ホルモンも入っています。)
ヒスロンとプロベラは同じ内容なのですが、ヒスロン1錠はプロベラ2錠分の強さがあり使い分けます。
生理が来ないほうが楽なのですが、閉経数年後まで、卵胞ホルモンを使うと内膜が厚くなっていつか出血しますので、卵胞ホルモンを毎日使って、黄体ホルモンで生理をコントロールして起こすことが多いです。
女性ホルモンで、乳がんが増えるのではないか。。と心配なさる方がいらっしゃいますが、55歳ぐらいまでならそのリスクは高くないと考えられています。(卵胞ホルモンでなく、黄体ホルモンがリスクを上げると考えられていますが、ヒスロンよりデュファストンの方が、更にはエフメノの方が、よりリスクが低いとされています)